〈head〉 〈head〉

苔の本棚blog

読書や趣味など大好きなことについて記事を書いています。4月から社会福祉士として働いています。

【多様性の科学】を読んで

f:id:ryota24k:20211021083115j:image

 

以前紹介させていただいた『失敗の科学』の著者マシュー・サイド氏の最新刊。

『失敗の科学』は失敗に対するアプローチの仕方を変えることで、失敗から学びを得ることができる。「失敗は決してネガティブな事ではない」と学んだ。社会人1年目だった当時の私にとって、こんなに心強い言葉はなかった。

 

さて、この多様性の科学でテーマになっているのはタイトル通り「多様性について」だ。

 

 

多様性のないチームと、あるチームの違い

 

多様性のないチームとはつまり、個人もしくは考え方や価値観、文化的な背景が同じメンバーしかいないチーム。

多様性のあるチームとは、考え方や価値観、異なる文化的背景があるメンバーが集まったチーム。

どちらの方が、良いチームと言えるだろうか。

陸上競技のリレーなどの特定のスキルのみ必要とされる場合は、前者のチームが多いだろう。身体能力が高いとされる黒人のメンバーが揃ったとしても不思議ではない。

しかし、複雑な問題解決に取り組む場合は、多様性のあるチームの方が良い成績を残せることが分かっている。

では、どのようにして多様性のあるチーム作りができるだろうか。著者のマシュー・サイド氏は以下のポイントを挙げる。

・反対意見が出やすいチーム作りをする

→違う価値観や視点を持つ人を敢えてチームに入れたり、まったく別分野に特化した人をチームに入れる事で活性化される。また、ヒエラルキーを気にせず意見を出し合える雰囲気を作ることで、新人などから出やすい斬新なアイデアを検討する事ができる。

・皆から自然と慕われるリーダーの存在

→独断で指示を飛ばし、「リーダーの言う事は絶対」というスタンスのリーダーが居るチームでは、いくら多様性のあるメンバーでもそのメリットは活かされない。上記に述べたように、意見を言いづらくなるからだ。昔の航空業界がまさにそうで、空の上では機長の言うことが絶対だった。30件以上の墜落事故が、副操縦士ら乗組員が機長に進言できずにいたことに起因してるという。

ただし、リーダーの存在はチームにとって欠かせない。なぜならリーダーが居なければ組織全体のバランスが取れない。実際にGoogleが実験的に管理職をなくしたことがあったが、組織が機能せず、約1年で元の組織形態に戻したことがある。

ではどのリーダーが望ましいのか。それは皆から自然と慕われるリーダーである。謙虚で、皆の意見を拒まないリーダーだ。もちろん、様々なリーダー像があり場面によっては、絶対的リーダーが求められることはあるだろうが、チームで問題解決にあたるのならば、謙虚なリーダーが望ましい。

 

ここでは本書で取り上げられた一部のテーマを紹介した。まだ他にも「個人が多様性を持つためにはどうしたらいいか」「目に見えない盲点をどのように発見し失敗を未然に防ぐか」についてなどが書かれている。自分の視点を広げてくれるヒントになるだろう。

高齢者は、ブログを見ない

朝の散歩をしている高齢の人たち。

散歩してるくらいだからまだ介護保険を申請していない人も多いと思われる。

でも僕たちより介護保険の存在が身近であることは間違いないだろう。

 

 


この人たちは、どうやって介護保険のことを知るのだろうか。

 

おそらく、病気になったり、怪我をして誰かの支援がないと生活が難しくなった時に、初めて介護保険のことを知り始める人が圧倒的に多数派だと思う。

元気なうちにネットなどで事前に調べようとする人は少ないだろう。

 


高齢者の人たちは、足を運んで自分の耳で情報を知りたがる特徴がある。携帯ショップに高齢者が殺到したりするのがその例だ。

 


つまり、今は介護が必要でないが、介護保険が身近になりつつある高齢者へ向けて情報を発信したいと思うならば、

blogや SNSで発信するのは効率的ではない。

 

ただ、SNSを通じて介護保険について正しい知識が世間に浸透すれば、家族などを通して高齢者の耳に届く可能性は充分に考えられるため、発信することが大切だということは変わらないだろう

 

社会人日記📝〜2020年5月編〜

 

GWを迎えて

新社会人の4月は、このGWのために頑張ってこれた。そういっても過言でも無いと思う。

コロナの影響で残念ながら外出はほとんどできなかったが、ずっと彼女と過ごした。彼女も新社会人なため、お互いの苦労を讃え、励まし合い、労い合った。本当に幸せな時間だった。ただ、頭の片隅にはずっとあった。

連休明け

という言葉。

 

そしてついにその日はやってきた。

 

人生で初めて「穴があったら入りたい」と思った日

連休明けの日は、契約のロールプレイをした。そこで合格をもらえば、次は実際に家族さん相手に契約を行える。

ロールプレイは、一発合格だった。

嬉しかった。聞けば、5月初旬で契約を任されるのは異例らしい。めちゃくちゃ嬉しかった。

そして1週間後、その日はやってきた。初めてデイケアの契約をさせてもらうことになった。契約場所は利用者の家族が経営している寿司屋さん。

思い描いていなかった環境に少し動揺したが、(大丈夫…俺はロールプレイでも上手く行った。ここで無事にミスなく終われば、新人相談員としての株は爆上がりだ…!)と意気込みながら、契約書が入っている封筒を覗き込んだ。

 

……!

(…ない。1番初めに説明する「持ち物リスト」がない!しかも、料金表もない…!)

 

大切な書類を忘れてしまった。しかも2枚!!

隣に座る上司の顔は…

🙂

めちゃくちゃ怖かった。

 

出鼻を挫かれてしまった私は完全にパニック。持ち物は自分の記憶を頼りに紙に書いた。手が震えていたのを覚えている。奥の方で何食わぬ顔をしながら仕込みをしている若い男をなぜか恨んだ。ごめんなさい。

 

まさに「穴があったら入りたい」と思った。

いっそのこと笑ってくれ。笑ってネタにしてくれればいい。そう思ったが、誠実な家族さんは真剣な眼差しをこちらに向けていた。辛かった…

 

なんとか契約を終え施設へ帰る時、助手席に座る上司がポツっと「ダメダメやね」と言った。私はコクっと頷くしかできなかった。言葉を発すると、今にも泣いてしまいそうだったから。

 

失敗続きの毎日を前向きにしてくれた本

上手くいくことより、上手くいかないことの方が多かった5月。

失敗が怖かったし、できれば失敗などしたくない。でもこの本を読んで、失敗に対する考え方が変わった。失敗をしてもしっかりフィードバックをすることで成長できる。失敗を糧にできる。この本のお陰で失敗をポジティブに捉えることができるようになった。この考え方は今の自分の根幹になっている。

 

 

社会人日記📝 〜2020年4月編〜

 

3/31  学生からの卒業

今まで自分たちには「先生」がいた。

導いてくれる人がいた。

社会人になると、上司はできるが「先生」ではない。責任を持って導いてくれる訳ではない。

これからは自分で自分を導いていくしかない。

ずっと分かっていたが、いざその日を目前にすると眠れなかった。

 

社会人デビュー

しっかり寝不足で迎えた入社式。

コロナ禍で控えめな入社式だったと後から聞いたが、普通に密だよなーっと思いながら理事長の話を聞いていた。

新社会人として、「出世したい!」とぼんやり考えていたため、一挙手一投足が重役の人に見られてるんじゃないかと無駄な心配もしていた。

 

新しい職場 新しい仕事

支援相談員として、介護老人保健施設(以下老健)に配属となった。介護老人保健施設とは、要介護認定を受け、日常生活において介助が必要な高齢者がリハビリを行う介護施設だ。病院と在宅の中間的な施設として位置づけられている。つまり、ややこしい。

自分も国家資格を持っているとはいえ、教科書でさらっとその名前を聞いたことがある程度だった。

 

そもそも老健のことをあまり分かっていないのだから仕事を覚えるのが大変なのも当然だ。

4月はひたすら先輩の横にピッタリとくっついて見学させてもらった。1日の中で様々な業務が目まぐるしく行われるため、見学をしていても「今なにをしてるのか」さっぱり分からなかった。

電話を取るのも怖かった。電話が鳴るだけでビクっとなり「誰か取ってくれ」と思っていた。

1日がとにかく長かった。通勤時のバスに乗っている最中の気持ちは、いつも落ち込んでいた…

毎日の楽しみは寝る前にする彼女との電話だけだった。その時間が当時の自分を奮い立たせる原動力だった。(それは今も変わらない)

 

自分にできることはなにか

経験も、知識もない支援相談員。

それでも老健で働く職員であることは変わらない。組織の職員であるということは何かしらの価値を生み出し、その対価として給料を貰うということだ。

自分にできること、それは「元気な挨拶」だった。

社会人になって少し驚いたのは、元気な挨拶をする人が少ないということだ。だからといって挨拶が嫌いな訳ではなく、こちらが元気よく挨拶すれば殆どの人が笑顔で挨拶を返してくれる。無視する人も中にはいるが、大体そういう人は仕事面でも尊敬できない人だ。

とにかく、自分は元気良く挨拶することが今できることだと思った。職場の雰囲気を明るくなれば、それも立派な貢献だと。

見かけた人に漏れなく挨拶していると、職場でも顔を覚えてもらうようになる。気軽に話してもらえたり、先輩からイジってもらったりするようになり、段々と自分の居場所ができたような気がした。

 

思い出

「とにかく数をこなすしかない」と思っていたため、相談員を呼ばれると真っ先に走って対応した。そして90%の確率で「すみません、分からないので他の相談員呼んできます!!」とトンボ帰りしていた。

上司からは「アクセル全開で危険なやつ」と思われていたと思う。

 

 

この時期に読んでいた本

 

入社1年目の心得

このブログでも紹介した本。

この本のおかげで「今の自分に何ができるのか」と思うようになった。

また、これからどうなっていくのか分からず不安だった時でも、「絶対に成長してやるんだ!」というポジティブな気持ちにさせてくれる良い本だった。

この本は1年後、後輩にプレゼントした。

 

 

次回は5月編へ



 

 

 

『生命科学的思考』生命として生き、人間として生きる

f:id:ryota24k:20210214072008j:image

 

 

 

【前提】

全ての生命体には…

【個体として生き残り、種が繁栄するために行動する】という生命原則がある

👉いわゆる「本能」。生き延びるための情報が遺伝子には組み込まれている。

しかし、人間には感情が備わっている。理性がある。理性をコントロールすることで、主観的な意志を持つことができ、この生命原則に抗うことができる。

つまり、人間の持つ本能を理解し(生命原則を知る)、人間の持つ理性(考える力や、社会性)をコントロールすることができれば、自然の理にかなった自由な生き方ができる。

 

・人はなぜ死ぬのか

👉これも種を生き残すための手段。生命体は、外環境が変化する前提で進化している。その変化に適応するには遺伝子をアップグレードさせていく必要がある。だからこそ、古い生命は新しい生命に入れ替わる。

 

・快楽と幸福

快楽

一時的なもの。本能に従っていくと快楽を求める。例えば目の前にケーキがあれば、糖分を摂取したいという本能(生き延びるために必要だと脳が訴えている)に従い、ぺろっと食べてしまう。食べすぎると糖尿病のリスクが高まるなど、考えない。

 

幸福

長期的なもの。理性をコントロールする必要がある。

上記のようにケーキが目の前にある場合。食べずに我慢することで長期的な健康にいい影響を与える。

 

👉本能に従えば幸せになれる訳ではない。今の時代は物が溢れている時代。快楽だけを求めれば結果的に健康に悪影響を及ぼし、幸福な人生とは言えなくなる。(もっとも、快楽を求める人生が幸福な人生と思い生きている人もいる。アルコール中毒や、ドラック依存の人などがまさにそうだ。)

 

 

 

 

 

スマホ中毒の僕が読んだ【スマホ脳】

 

f:id:ryota24k:20210211150331j:image

 

【結論】

スマホ開けばドーパミンがドバドバ分泌されるから、みんなスマホ大好き

 

 

・そもそも人間の脳は進化していない

f:id:ryota24k:20210211151336j:image

👉テクノロジーの発展などでここ200年の間で大きく世の中は変わったが、人間の脳はまだ狩りをしていた頃とあんまり変わっていない。つまり、脳は進化していない。

 

👉脳は生き延びるために発達している。例えば、人は「何かを手に入れた時」と、「それが手に入れるかもしれない時」とでは、後者の方がドーパミンが分泌される。理由は、生きるために食べ物を見つけるため。食べ物を見つけてしまった時に満足してしまえば、次の食料が手に入らなくなる。どんどん探しに行かなくてはならない。だから、人間は新しい情報を求める本能がある。

 

👉この、新しい情報を求める本能は現代人が画面をスクロールする行動に映し出されている。しかも、今のページではなく、次のページにもう意識が向いている。

 

👉つまり、人がスマホから離れられないのは、この本能によって無意識にスマホを開いてしまい、次々に新しい情報が入ってくるネットの世界に入ってしまう。その間ドーパミンがどんどん分泌されるため、時間があっという間に過ぎていく。簡単に言うと、お手軽なドラックだと。

 

 

じゃあどうすればいいのか?

この本にはそのヒントがたくさん書かれている。

決して、「スマホを手放せ」と一方的に言うわけではなく、スマホと上手く付き合う方法を教えてくれる。

本書ではスマホがテーマに書かれているが、人間の脳の仕組みを分かりやすく解説してくれているため、普段の生活で「なぜか無意識にしてしまうこと」など、「なるほど!」と思わせてくれる内容が詰まっている本だ。

 

 

 

スマホ脳(新潮新書)

スマホ脳(新潮新書)

 

 

 

文豪たちの手紙を読んで感じた言葉の力

f:id:ryota24k:20201204225004j:image

 

巧みに言葉を使う文豪たちが書く手紙📨

 

今どき手紙書く人は少ないかもしれません。メール、LINEで文字を打って送信する。それが、離れている人とコミュニケーションを取る方法として当たり前になっています。

 

本書で登場する文豪たちが生きていた時代では、離れた人と話す方法としては手紙くらいしかありませんでした。

そのため、言葉の重みが今よりもズッシリとあるような気がします。

 

この本で紹介される手紙は41通。

恋人への手紙、家族への手紙、友人への手紙、そして別れの手紙が紹介されてます。

それぞれの手紙に解説や、経緯も書いてくれているので、書き手の思いが伝わりやすい本です。

 

ここで一つの手紙を一部紹介します。

芥川龍之介が、恋人に送ったプロポーズの手紙です。

理由は一つしかありません。僕は文ちゃんが好きです。それだけでよければ、来て下さい。

この言葉には、おそらく色んな想いが詰まっているんだろう…でもあの芥川龍之介でさえも、その溢れる想いを表現する言葉が見つからなかった。

おそらく頭に浮かんだろうたくさんの言葉達を削りに削って手紙に書いたこのシンプルな言葉。

これを受け取った文という女性には、その想いは必ず伝わったでしょう。

 

言葉の力について

f:id:ryota24k:20201205073618j:image

 

この本を読むと、言葉には不思議な力があるんだなと改めて感じます。

「言葉」は誰でも使える。

その「言葉」を使って、人々を感動させ、癒すことができる人。

その「言葉」を使って、人を傷つけ、痛めつけようとする人。

最近はSNSでの誹謗中傷で苦しんでいる人のニュースもよく見ます。使い方によっては言葉は凶器にもなるのです。

誹謗中傷された人が弱いのではありません。

色んなプレッシャーに耐え抜いてきた人でも、ポキッと心が折れてしまうくらい、言葉の力って凄まじいのです。

 

逆に言うと、

人を励ます、感動させる、癒す、安心してもらえるように言葉を使うと、きっとその言葉を受け取った人は嬉しいと思います。心が折れそうな人は、あなたが送った言葉を聞いて、上を向くことができ、「もう一歩進もう」と立ち直れるかもしれない。いや、きっと立ち直れます。

さらに、良い言葉というのは伝染していくものです。受け取った人は、さらに他の人へ届けようとする。

Twitterでいうリツイートです。

「バズる」の本質は、自分が受け取った言葉を他の誰かにも受け取ってほしい。本来それが形になったものではないでしょうか。

 

さて、

「不思議な力を持つ言葉」を扱える私たちには、選択肢があります。

それはどんな言葉を相手に届けるか。です

 

 

 

 

愛の手紙の決めゼリフ 文豪はこうして心をつかんだ

愛の手紙の決めゼリフ 文豪はこうして心をつかんだ

  • 作者:中川 越
  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)